今度は熊谷が上原から距離をとって立ち、スウィングするリズムの「BOUNCING WITH BUD」がスタート。熊谷のタップから、上原と同質のメロディが聴こえてくる。一方、上原の左手の指が、熊谷と同質のアタックの強いタップを奏でる。上原がソロを取ると熊谷は立ち止まって指を鳴らす。次の瞬間、熊谷がタップを踏みながらステージ左はしまで一気に駆け抜けた。聴覚と視覚の両方を強く刺激されて、観客はうなる。これも短い曲で、終わると上原はピアノから立ち上がって、熊谷と互いに拍手し合った。もち ろん観客もふたりに大きな拍手を贈る。2年前とは比べものにならない、力強いイントロダクションだった。
「年の瀬のお忙しい中、ありがとうございます。大阪、浜松、名古屋とツアーのゲストとして参加して、毎日すごくハードなんですけど、今日は明日のことは考えずに全力を出し切りたいと思います」と熊谷。「しかも今日はホットスタッフ30周年のイベントということで、おめでとうござい ます。タイトルの“OUT OF CONTROL”は、制御不能という意味だそうです(笑)」と上原。ふたりの気迫が会場に伝わって、気鋭のジョイントが始まった。
第一部はパワーとスピードにあふれる展開。10本の指先でピアノを限界まで鳴らす上原と、全身のグルーヴをタップシューズに 集約してフロアを蹴り叩く熊谷のバトルが観客を圧倒し続けた。だから第二部の初めで客席から登場し、タップを披露してステージに熊谷が着くのを合図に上原がガーシュウィンの大曲「RHAPSODY IN BLUE」の優雅なイントロを弾き始めると、第一部とはまったく異なるアプローチに観客は瞬時にしてこのコラボの深みに引き込まれた。