US AND THEM  
7/19 . 20 日比谷野外大音楽堂
7/19 (sat) ゆらゆら帝国 × BOOM BOOM SATELLITES
7/20 (sun) 東京スカパラダイスオーケストラ
          × 吾妻光良 & The Swinging Boppers
 
ようやく梅雨明け宣言が出た7月19日、日比谷野外音楽堂で ホットスタッフ・プロモーション30周年記念イベントの第2弾 「US AND THEM」の1日目がスタートした。

先攻は、海外でも活躍するデジ・ロック・ユニットBOOM BOOM SATELLITES。ヴォーカル&ギターの川島道行とベース&プログラミング中野雅之の二人が、フライングVを持ってステージ狭しと走りながら、ソリッドなダンスチューンを連発。最新作『EXPOSED』の曲を中心に、人気曲「PUSH EJECT」「KICK IT OUT」などを熱演した。ドラムを加えた3人編成で作り出す、生楽器と打ち込みを重ねたソリッドなサウンドに、体を動かさずにいられない。満杯の観客が空に向かって手を挙げ、ビッグビートに酔いしれる光景は圧巻だった。
この夏も、台湾を皮切りに内外のフェスティヴァルに参戦する彼等、この日は最高のウォーミングアップに なったようだ。

後攻のゆらゆら帝国は、日本語のロックにこだわり続ける3人組。シンプルだがユニークな演奏に意味深な歌詞の曲、そして味のあるパフォーマンスを見せるライヴで、絶大な支持を得ているバンドだ。この日も、ヴォーカル&ギターの坂本慎太郎が飄々とした様子で「あ、どうも」と挨拶をして演奏を始めたが、「太陽の白い粉」から彼等独特のサイケデリックな音世界に、ぐいぐい観客を引き込んで行った。
7月に出したリミックス集と曲は重なるが、演奏は別もの。シンプル だが音に存在感のある演奏で、曲が膨らんで行く。体をくねらせながら 弾く間奏の即興的なギターソロは、坂本の面目躍如と行ったところだ。
坂本がギターを手放し、マラカスやタンバリンを振りながら歌うのは、昨年からの試み。ドラムとベースが歌心たっぷりのビートを繰り出 した「あえて抵抗しない」は、ゆら帝流のドラムンベースといった趣が あったし、「ロボットでした」は起伏に富んだ展開で、スリリングなナンバーになっていた。このように曲を変貌させて行くスリルを、安定した演奏で味わえるのが、彼等の醍醐味。この夜もたっぷりと堪能させてくれた。


振り返れば、BOOM BOOM SATELLITESとゆらゆら帝国は、かたやエレクトロニカ、かたやアナログと両極端な手法ながら、観客を楽しませるパワーには優劣つけがたい。日本のバンドの幅広さ奥深さを実感した夜でもあった。


BOOM BOOM SATELLITES
  1. MORNING AFTER
  2. EASY ACTION
  3. Dig The New Breed`08
  4. BRING IT ON DOWN
  5. UNDER DOG
  6. PUSH EJECT
  7. INTERGALACTIC
  8. Get Back In My House
  9. KICK IT OUT
ゆらゆら帝国
  1. 太陽の白い粉!
  2. 2005年世界旅行
  3. ソフトに死んでいる
  4. 夜行性の生き物3匹
  5. あえて抵抗しない
  6. タコ物語り
  7. ロボットでした
  8. 3x3x3
  9. つぎの夜へ
  10. 無い!
 
text:今井智子 photo:松本誠司
 
東京都心が真夏の暑さに包まれた7月20日、日比谷野外音楽堂 でホットスタッフ・プロモーション30周年記念イベント「US AND THEM」2日目が行われた。この日は、管楽器入りのバンドが揃い踏み。

まだ日差しも強い15時半開演にもかかわらず、会場は満席。そこに登場したのは意外にも、この日の最高齢バンド、吾妻光良&The Swinging Boppersだ。
揃いの白シャツにメタボなボディを隠したバンドの面々が定位置に付くと、ギターを携え吾妻が登場、いきなりバリバリとギターを弾き、圧倒してみせた。来年で結成30年になる彼等だが、初期の名曲「やっぱり肉を食おう」にも鯨問題を織り込んだり、社会人ならではのボケ・ソング「お前誰だっけ?」、仕事のストレスと高血圧の問題を取り上げた「150-300」などを熱演。彼等のルーツでもあるジャンプ・ブルースの始祖ルイ・ジョーダンやキャブ・キャロ ウェイの曲も個性的な演奏で聴かせ、年季の入った存在感を見せつけた。


御大の後で、若さを炸裂させたのはYOUR SONG IS GOOD。結成10年なんて、このイベントでは青二才だ。若者らしくサウンドチェックから本気で音を出し観客を惹き付け、本番では「皆さん暑いんで無理しないで!無理は俺達がします!」と、サイトウジュンが鍵盤に飛び乗ったり、アンプから飛び降りたりと大暴れ。間もなく発売の新作『THE ACTION』の曲も解説付きで披露して、大いに湧かせた。


続いては、勝手にしやがれ。ドラムを叩きながら歌う武藤昭平を中心に、すかしたスーツ姿で管隊がフォーメーションを決め、「ロミオ」など人気曲で危なげない演奏。スウィンギーなジャズ、パンク、スカなどが融合したプレイで盛り上げたが、中盤で武藤がセンターに出てきて歌ったのは、トム・ウェイツばり「ドライ・ボーン・ブルース」。最近これもお馴染みのスタイルになってきただけに、管隊も味のある演奏に。
「ドナウ川の漣」で知られる旋律を独自の切れ味で聴かせる「黒い瞳」 など、彼等ならではのスウィングを楽しませてくれた。


閑話休題、といった佇まいで現れたのはSAKEROCKの浜野謙太。「登場するなり頑張れはやめてくれ」などと、ヘタレなのか強気なのかわからない発言で観客を掴み、MTRを使ってのファンクチューンなどでトリ前を暖めた。

ようやく黄昏れてきた19時過ぎ、東京スカパラダイスオーケストラの登場だ。この2日前に、フロントマンの冷牟田竜之が療養のため脱退を表明、バンドがどうなるのか憶測が飛ぶ中での出演となった。だが、周囲の心配など吹き飛ばすように、変わらぬ調子でステージは始まった。トランペットのマイクに向かって煽る北原雅彦に、渋くトースティングするGAMO、MCで気合いを入れる谷中敦は「新しいスカパラを楽しんでくれ!」と叫び、ドラムの茂木欽一は「今日から9人体制。ベストを尽くすんで、よろしく!」と宣言した。ずっとセンターステージにマイクスタンドが立てられていたのが切ないが、その不在を補って余りある9人の男達の声と思いが胸を打った。これまでも幾多の苦難を乗り越えてきた彼等だ。これからも更にタフな活動を続けて行くに違いない。
アンコールでは谷中が「ホットスタッフ30周年おめでとう!俺達も30年目指して頑張ります!」とエールを送り、この日の出演者を呼び込んで最後の大セッション。ぶっつけ本番だったと言うが、スカパラの定番「Bridge view」を、誰もが楽しそうに演奏してみせた。


ジャズやブルース、パンクにスカと多彩なスタイルのバンドが根付いているが、それを楽しむ観客層の広がりが彼等を支えていることを実感した夜だった。こうしたバンド達のライヴをサポートしてきたホットスタッフの30年が、バンドと観客を繋いできたことにも思いを馳せたのだった。

吾妻光良&The Swinging Boppers
  1. Thing`s Ain`t 〜最後まで楽しもう
  2. やっぱり肉を食おう
  3. お前誰だっけ?
  4. 栃東の取り組み見たか
  5. Let Your Hair Down
  6. 俺達相性いいぜ
  7. 150〜300
  8. カツ丼
  9. ほんじゃね
YOUR SONG IS GOOD
  1. A MAN FROM THE NEWTOWN
  2. 熱帯BOY
  3. MOVE or DIE
  4. THE CATCHER IN THE MUSIC
  5. 1-2-3-4 CALYPSO
  6. ブガルー超特急
  7. THE OUTRO
   
勝手にしやがれ
  1. ロミオ
  2. スイサイダル・スウイング
  3. ラスト・ダンス
  4. U−K
  5. ドライ・ボーン・ブルーズ
  6. 黒い瞳
  7. ブラック・マリヤ
  8. フィラメント
  9. 円軌道の外
東京スカパラダイスオーケストラ
  1. TONGUES OF FIRE`08
  2. (We know it`s)All or Nothing
    -MC- 谷中
  3. A Song For Athletes
  4. Warrior Chant
  5. Punch`n`Sway
  6. SKA ME CRAZY
    -MC- 茂木
  7. 世界地図
  8. 964スピードスター
  9. ルパン三世`78
  10. 追憶のライラック trumpet dub ver
  11. Perfect Future
  12. Pride Of Lions

EC,Bridge view(セッション)
浜野謙太(SAKEROCK)
  • 押し語り
 
text:今井智子 photo:松本誠司