カップリングベスト『僕の住んでいた街』を携えたツアー「くるりライブ興行2010〜地獄の団体戦〜」の東京公演初日。開演時間より少々遅れて彼らが登場。まずは新曲「東京レレレのレ」をピンクの紙吹雪が舞う中で披露する。琉球テイストのメロディを奏でるロックナンバーでスタートすると、次はロックテイストの「ノッチ5555」でテンションを高めていく。さらに、「サンデーモーニング」と初期の楽曲を歌い上げて観客を盛り上げた。
MCになると、いきなりの第一声が「すいませ〜ん、チューニングをします」。岸田らしい力の抜けたゆる〜い言葉でトークが展開される。そして、「えっと、いきなりなんですけど、みなさんの知らない曲を4曲続けてやります」と話すと、ここからは新曲を4曲立て続けに披露した。
タイトル通りのゆるゆるとした、まったりとしたスローテンポが心地よい癒し系ナンバー「温泉」から始まると、続いては哀愁漂うリリックをエモーショナルなロックサウンドにのせて歌い上げた「さよならアメリカ」、そして、ほのぼのとしたタイトルとは裏腹にしっかりとしたバンドサウンドにリリックをのせたロックナンバー「麦茶」、バスドラムのズシンと響く音色と、ソリッドなギターから生まれたヘビーロック「目玉のおやじ」を演奏して会場を沸かせた。
その後MCを挟んだ次の楽曲は、なんと1曲で10分を超える大作「ガロン」。
楽曲途中で佐藤征史がエレキベースからウッドベースに持ち替え、岸田がギターからキーボードにチェンジしたかと思うと、急にテンポが上がったり、また、岸田が佐藤の背後にやってきて2人羽織のような状態で佐藤が演奏する場面もあったりと、前半の最大の見せ場となった。
そして、中盤から終盤にかけては、カップリング楽曲のオンパレード。ヘビーなダークロック「イメージファイト」、佐藤がボーカルをとるアッパーなロックチューン「BLUE NAKED BLUE」を熱唱し、その後もアコギに持ち替えて演奏した「ギター」や、弾むようなロックチューン「すけべな女の子」を歌うとMCに。
ファンから、『僕の住んでいた街』のオリコンチャート1位獲得を祝福されると、岸田は「すごく光栄なこと」と喜びながらも、「そういうのあまり期待してなかったんですけど、実際になっちゃうと気になるよね。今日、電車で来てたんですけど、別に何もなくて、ただの人やと思いました(笑)」と報告。「ただのロック好きの人が、ここで演ってるだけやないかと思ったんです」と淡々と話すと、「おなかが空いたんで、食べ物の歌でもやりますか」と言って、「ベーコン&エッグ」に突入。夏の恋をベーコン&エッグに例えたリリックを、やんわりとポップに歌い上げた。そして、7月28日(水)にリリースされる美しいメロディのラブソング「魔法のじゅうたん」を披露すると、本編ラストの「地下鉄」に。2人のファルセットとエモーショナルなサウンドが印象的な歌部分と、激しい演奏を炸裂させる間奏部分で構成された楽曲をエキサイティングに熱唱してステージを後にした。
アンコールでは、佐藤が出てきてツアーグッズの紹介や、彼らが主催する「京都音楽博覧会2010 IN 梅小路公園」を告知。さらに、佐藤が昔、サッカー日本代表の岡田監督と新幹線で会ったことがあり、しかも間違って監督の席に座っていたというエピソードを話すと観客は大笑い!!
そして、ライブでやったことのない昔の曲をやろうかということで、叙情的な夏のバラード「サマースナイパー」をせつなく歌いあげると、ラストの「尼崎の魚」に。結成当時からある懐かしいナンバーにオーディエンスも聴き入って温かい空気に包まれた中でライブは終了した。
岸田がMCで「『ワンダーフォーゲル』やってくださいとかいう人がいても、意地でもやりません(笑)」と言っていたように、新曲とカップリング曲ばかりという構成だった今回のライブ。それにも関わらず、ファンの歓声や熱気はいつもどおり。どんな楽曲でもファンを魅了できる、彼らの楽曲のクオリティの高さを再認識できるステージだった。
撮影=古渓一道